14 years old 番外編
『ナナとカズの場合』
カズ「ナナ〜☆」
そう、愛しい人の名前を言いながら、後ろからナナに抱きつく。
冬にさしかかった季節の屋上。
それでも、小春日和で暖かかった。
ナナ「・・・カズ。」
カズ「ん?」
ナナ「人前で、抱きついちゃダメ、って、何度言った?」
カズ「人前じゃないじゃん♪」
ナナ「・・・私の隣にいるのは?」
そう言うナナの言葉に反応して、ナナの隣を見る。
こちらを見て苦笑いしている宮森がいる。
カズ「宮森アイちゃんがいますっ。」
ナナ「・・・カズのうしろには?」
また反応して、言われたとおり自分のうしろを見る。
宮森に向かって手を伸ばそうとしているリョウがいる。
カズ「長田リョウ君がいますっ。」
ナナ「・・・前を見てごらん?」
素直に前を見る。
窓の向こうに、不思議そうに、でも好奇心溢れる表情をしてこちらを凝視するクラスメイトたち。
カズ「我がクラスメイト諸君がいますっ。」
それを言い終わった途端に、自分のみぞおちに鈍い痛みが走る。
ナナ「・・・十分人前だよね?」
いたたたた・・・・。
でも・・・・刺激的なナナも好き〜☆
* * *
あの暑い暑い、夏の日。
俺たちのそばには、なんだか慣れているような、なごんでいるような、そんな熟年カップルのような雰囲気を漂わせる宮森とリョウがいて。
なんでリョウ、こんな笑顔なんだろう、と思っていた、あの夏の日。
俺にとっては、運命の日。
ナナ「よろしく。」
そう言って、東城が笑う。
うわっ・・・こんなに美人だったっけ?東城って。
カズ「よ、よろしく。」
そう言ってから、どもってしまったことを深く後悔した自分がいる。
* * *
「ふ〜ん・・・そういうこと?」
目の前にいる、水着姿の男が、嫌悪感を抱かずにはいられない笑いを浮かべる。
この野郎・・・自分が浮気してたくせに・・・。
全部、知ってんだよ。
知り合いでも、話したことも、どんな奴かも、知らない奴に、そんな風に心で悪態をついたのは初めてだった。
リョウから東城の彼氏の浮気の件についての電話があったあと、俺は正直言って焦った。
こんな経験したことなかったし、東城ともそんなに仲良かったわけじゃないし。
でも、守ってあげたいって思った。
俺って、惚れっぽいのかな?
東城と一緒に過ごして、数時間しか経っていないというのに・・・なんか東城に惹かれまくっている、俺。
なんか、予想以上にかわいくて美人だし・・・それに似合わず性格サバサバしてるし。
気がよく利いて、優しい人だった。
俺のつまらない冗談にも、くだらない話にも、耳を傾けて、頷いていてくれて・・・笑ってくれる。
でも、ちゃんと会話がつながるようにしてくれるんだよなぁ・・・。
宮森の取り合いジャンケンで負けて、2番目に人気だった東城のジャンケンで勝って。
俺のペアは、東城ナナになった。
やっぱり、最初は宮森がよかったなぁ、とか思ってたけど。
今となっては、むしろ宮森のジャンケン負けて東城になってよかった、って思うほど。
リョウ、あのとき勝ってくれてありがとう。
そして今。
ピンチだ。
かなりピンチだ。
浮気中の東城の彼氏に、鉢合わせしてしまった。
それに加えて。
東城の彼氏は、俺を東城の浮気相手だと思っているらしく。
東城は、自分のことをそれはそれは高い棚に上げる最低男に丸め込まれそう。
こんの野郎・・・・。
その男は、顔がすごく整ってて。
背が高くて(まぁ俺も負けてなかったけど。)、体格がっちりしてて・・・高校生か?
東城が、惚れるのもわかる。
でも・・・許せない。
東城のどんなところに飽きたって言うんだ、この最低男は。
かわいいし美人だし性格だっていいし!
お前のこと、一途に思ってくれてた子なんだぞ。
なのに、浮気するなんて。この贅沢男め。
俺は、怒りでどうにかなりそうだった。
その怒りが、東城をなんとしてでも守ってあげたい、そんな気持ちが沸く元となったのだ。
これはナイスタイミング、とでも言い出しそうにニヤニヤと笑い続ける男を顔を人にらみし、決心した。
カズ「俺のなんで。」
そう言いながら、東城の手を握る。
どうせだから、恋人つなぎ。そう思って、東城の指に、俺の指を絡ませた。
・・・ほっせーーー!!
なんだ、この指!ほせぇよ!手、ちっちゃ!何だコレ!
男を見ると、ぴくりと反応して、あの憎たらしい笑顔は、消え去っていた。
おし、なんかいい感じ?
ふいに、東城が、俺の手を握り返す。
でも、その手は、なんだか少しだけ震えていた。
ナナ「ナンパとか、無理なんで。」
そう自信満々に言い放ち、俺にぴったりとくっついてくる。
腕なんかも絡ませて、超、ラブラブっぷりアピール。
す、す、すすすす素肌がぁぁぁっ!!
水着だから、東城の肌が、俺の肌にぴったりくっつく。
俺の頬がほってたのが、照りつける真夏の太陽のせいなのか、くっついている東城の肌のせいなのかがわからなかった。
カズ「てか、なんすか?あんた、あっちに彼女待たせちゃってるみたいですけど。」
ナナ「・・・他の女なんかにナンパしてたら、彼女怒っちゃいますよぉ?」
そう言って、東城はもう俺とつないでない方の手で、俺とつないでいる手を包む。
俺の肩に額を当てると、俺と目を合わせて笑い合う。
でも、その瞳はかすかに曇っていた。
そうだよな、強がっていても・・・やっぱり好きだった彼氏の浮気現場を見ちゃったんだもんなぁ・・・ショックだよ、そりゃ。
「ナナ・・・お前・・・。」
ナナ「やだぁー、この人私の名前知ってるよぉ〜?カズぅ。」
カズ「うわっ、ストーカーじゃねぇ!?ヤバイよ、コイツ。」
ナナ「こわーい!!」
・・・なんか口調変になってるけど、その調子だ、東城。
そして男はしばらく俺と東城を見比べる。
すると、タイミングがいいのか悪いのか、あちら側の女が、男のそばへやってきた。
「ばっ・・・お前、来んなよ!」
そう男は悪態をつくと、焦る表情を隠しきれない様子で俺たちを見据える。
浮気相手の女が、ねぇねぇまだぁ?と言いながら男に甘える。
その様子があまりにも見苦しかったのと、その女が東城とは比べものにならないぐらい不細工だったので、俺はここを立ち去りたくなった。
きっと東城もそうだろう。
俺はつないだままだった東城の手を、何も言わずに引っ張っていく。
東城もそういう俺の態度に合わせて、何も言わずに俺に引っ張られていく。
まだ、東城の手は震えていた。
「お、おいっ、ちょっと待てよ!ナナ!」
・・・・しつけぇなぁ、アイツ。
いい加減、さすがの俺もキレそうなんだけど。
きっとそんな胸中が出ているであろう顔を、立ち止まり男に向ける。
カズ「・・・もう二度とナナに近づくな。」
自分でも俺の声恐い、とか思う威圧感のある声でそう言い捨て、東城の手を引いていく。足早に、足早に。
それは、早く東城からあいつの存在を遠ざけたかったのと、東城の止まらない小さな震えを、早く止めてやりたかったからだ。
* * *
アイ「もう・・・リョウでも人前では抱きつかないよ、さすがに。」
リョウ「え、アイ、俺だってそんぐらいの理性はあるって。」
そういうリョウと宮森の会話を聞いて、俺は一人凹んでた。
どうしよう・・・ナナ、怒っちゃった。
まぁ、ナナって照れ屋だしなぁ〜(違う)
ちゃんと謝らないと。
みぞおちにナナの肘打ちアタックが炸裂したあと、ナナは怒って屋上から出ていってしまった。
残された俺は、リョウとアイに説教くらってた。
すぐ謝りに行った方がいい、というリョウの言葉に、俺は素直に応じようとする。
が。
そうだ、このカップルに、聞きたいことあったんだ。
カズ「なぁ、リョウ、宮森。」
リョウ「ん?」
カズ「変なこと聞くけど・・・お前らもうチューした?」
アイ「はぁっ!?」
宮森が真っ赤になってる。
まぁ、そりゃなぁ・・・・。
リョウが、苦笑いしながら、落ち着かせるためか宮森の背中をぽんぽん、と叩く。
リョウ「なんだよ、いきなり。」
カズ「んー・・・いや、なんか。」
リョウ「そっかー、ナナちゃんあの調子だもんな、チューとか難しそう。」
カズ「そーなんだよ!」
それです、ハイ。それそれ。
さすがリョウ君、勘が鋭いですね・・・・。
僕、増田一人は。
ナナちゃんとチューできなくて困ってます。
できないのにしたくて困ってます。
そりゃ思春期ですから!!僕!
カズ「それで?したの?」
リョウ「まぁ・・・したと言えばしたけど。」
カズ「えっ!?い、いい、いつ!?」
リョウ「・・・俺らの場合例外だから時期とかは参考にならないと思う・・・よ?」
カズ「えー・・・。」
参考にならないほど例外って、どんなだ・・・・。
それまで赤くなっていて黙っていた宮森が、口を開く。
アイ「あのねぇ、カズ。」
カズ「はい!!」
アイ「カズたち、もうすぐつき合って三ヶ月なんだし・・・ナナだってねぇ・・・そりゃ、そういうこと考えるよ。」
カズ「うん。」
アイ「でも、女の子はしたくても行動に移せないの。わかる?」
カズ「・・・・うん?」
アイ「そういうときに行動に移してあげるのが・・・」
リョウ「男。」
どうしてここまで息ぴったりなんだこのカップル。
カズ「そこまではわかったけど・・・仕方がわからない。」
リョウ「普通にするんだよ。普通に。」
カズ「普通がどんなかわかんないんだよ!」
リョウ「んなもん勘だよ。勘。それとノリ。」
アイ「ノリって言うのは合ってるかも。」
そんなこと言われても。
わかんないよ。
だいたいリョウはそう言うのどこで仕入れてくるんだ。
経験者からとか?
そういやリョウ、お兄ちゃんいるしなぁ。
お兄ちゃんがいると、そういうの聞けるのかもしれない。
実際してるとこ見れれば・・・。
あ!
カズ「あ、そうだ、してみせてよ!うん、それがいい!」
リョウ「俺は別にいいけどー♪」
アイ「絶対嫌。」
リョウ「・・・姫がそう言うんで無理です。」
カズ「えー!!いいじゃん!減るもんじゃないし!してよ!」
アイ「私の神経が減るわ。」
リョウ「姫がそう言うんで無理です。」
なんだー・・・。
してくれればいろんな意味で勉強になったのに。(いや普通しないだろ。)
でも他にもう身近なカップルなんていないしなぁ・・・。
リョウ「てかカズ。」
カズ「ん?」
リョウ「気が利かねぇなお前も。二人っきりにさせろよ。」
リョウが、苦笑いしながら言う。
そ、そうじゃん。
ナナがいなくなった今、二人にとって俺は邪魔者以外の何者でもない。
カズ「あっ!!ご、ごめん!俺、もう行くわ!」
リョウ「おう。ナナちゃんにちゃんと謝っておけよ。」
カズ「うん。じゃーなー。」
そう言って、俺は走り出す。
早くナナのもとへ行って、謝りたい。
やだよ、こんなもやもやしたままの気持ちでいるなんて。
素直に、謝ろう。
悪いの、完全に俺だし。
走りながらぼんやりと謝るときのことをシミュレーションしていると、
リョウ「カズ!」
後ろから、リョウの俺を呼ぶ声がした。
カズ「ん?」
立ち止まって振り返る。
と。
リョウ「ちゃんと見とけよ。・・・貸したノート。」
やけににやつきながら、リョウが言う。
ん?
リョウからノートなんて借りてない。
どういう意味?
『ちゃんと見とけよ。・・・・貸したノート。』???
この台詞に加え、やけににやつくリョウ。
あぁぁぁ!!
そうだ!わかったぞ!意味が。
・・・・今から俺にチュー見せてくれるんだ。
ここから出ていくようにし向けて、それであぁいう台詞を言って俺に気付かせて、宮森に気付かれないように俺が二人のチューを覗く。
あぁ!!ありがとうリョウ!
この借りはいつか必ず返す。
・・・ドアの影から見てようかな〜♪
カズ「おう!じゃまたあとで〜!!」
そう言って、ルンルン気分で屋上から出ていく。
と言っても、出ていくふり。
屋上のドアを少しだけ開けて、二人をのぞき見る。
覗いていると、二人は場所を移した後(たぶん校舎の中からは見えない位置に移ったんだと思う)、しばらく何か話してて。
・・・・・。
うぉっ!!
・・・。
俺はそっとドアを閉めた。
・・・・。
・・・。
勉強になりました。
* * *
あの憎たらしい男の元から去った後、とにかくあいつから遠く、遠く離れようと、黙って繋いだままだった東城の手を引いていった。
泣きたいだろうな・・・そう思った俺は、一目がない店の裏まで東城を連れてきた。
振り返り、それまで見ることができなかった東城の顔を見る。
案の定、東城は今にも泣き出しそうな顔をしていて、俺の手をきつく握っていた。
カズ「・・・泣けって。」
なんて言ったらいいのか解らず、そんな乱暴な言葉が出てきた。
こういうとき、気の利いた優しい言葉を掛けられる人になりたい、そう切実に思った。
それとも、こんなときだからこそ、優しい言葉は逆効果なのだろうか。
本当に難しい、人間は。
もしかしたら、こんなときはこうする、なんてはっきりした答えは、ないのかもしれない。そのときそのとき、人は人を想って行動に移さなければならないのだろうか。
ナナ「ご、ごめん・・・。」
東城は、うつむくと繋いでいた手を離し、その手を自分の目元に持っていった。
泣いている女の子が目の前にいるとき、どうすればいいんだろう。
なんだっけ・・・どっかのドラマで言ってたな、「泣いている女の子は優しく抱きしめるのが定義」って。
でも、そんな定義、あってもなくても関係ない。
俺は、なんだかすごく、東城を抱きしめたい衝動に駆られていた。
ナナ「本当、ダサいよね。浮気されたなんて。その程度だったのかな、私もアイツも。はは・・・。」
東城の、泣きながら無理矢理作った笑顔は、とても見ていられなかった。
ナナ「本当、ごめんね?こんなことになっちゃって。ごめん。・・・ごめんね。」
やめろよ、悪いのは東城じゃない。
東城は、なんにも悪くない。
謝るなよ。
そのとき、俺の中の何かのスイッチが、押されたような気がした。
我慢、できない。
ナナ「・・・え?」
俺はそっと、東城を抱き寄せた。
その小さな背中に手を回すと、女の子ってこんなにちっちゃいんだ、と頭のすみで思った。
カズ「いいから。・・・もう、いいから。」
それだけ言うのにいっぱいいっぱいで。
俺は、優しくない、人を思いやれない人間なのかな、そう、心の中で自分自身に質問する。
あまりにも彼女に言ってやれる言葉が思いつかなさすぎて、あまりにも・・・彼女を、愛おしく思ったからだ。
* * *
教室に戻ったら、ナナの姿はなかった。
どこに行ったんだろうと、廊下を見渡したりしてみるが、どこにもナナの姿は見あたらない。
いないならしょうがない、と、教室で待ってることにしたが、時間だけが黙々と過ぎていく。
そして、ナナは昼休みが終わって、授業が始まる30秒前ぐらいに教室に戻ってきた。
授業が始まってしまうので、次の休み時間に謝ろうかな、そう思ったけど。
次の休み時間も、ナナは授業が終わった瞬間に教室から出ていき、そして授業が始まるほんの少し前に戻ってくる。
これじゃナナと話ができない。
なんで今日に限ってこんな行動するんだ?ナナ。
ちょっと待て。
・・・避けられてる!?
* * *
結局、学校ではナナと話せなくて。
家に帰ってきた後、リョウに相談メールしてみた。
カズ『どうしよう!?ナナに結局謝れなかったよ〜。避けられてるっぺー(>_<)』
リョウ『知るか』
・・・・ひどっ!!
でもいつものことなのでめげずにリョウの返信内容は無視して送り返す。
宮森に送るメールも句読点なし、顔文字なしらしいからな、こいつ。
カズ『ねぇ!?どうしよう!?メールとか電話じゃあれだしなぁ・・・それにチューしたい!』
リョウ『会いに行けば』
おっ、さすがだ、大胆なこと言う。
カズ『もう夜だし・・・迷惑じゃないかな?』
リョウ『俺よく連絡なしに会い行く 藍に連絡くらいしろって怒られるけど』
おお・・・・。これぞ熟年カップル・・・。
カズ『勝手に家に行って大丈夫かな?』
リョウ『初めてなんだしメールぐらいいれれば それか藍に意見を乞えば』
カズ『女の意見を聞くってこと?』
リョウ『そう 藍のアド知ってるだろ?メールしてみりゃいいじゃん たぶんあいつ今ご飯作ってるけど』
カズ『ありがとう!』
リョウ『俺は会いに行くのおすすめする』
そんなこんなで宮森にメールしてみる。
カズ『ナナさんに謝れなかったんですが・・・どうすればいいですか??姉様!』
アイ『会いに行けば』
カップル揃って句読点なし絵文字なしで同じ内容ですかこの人たち・・・!
カズ『迷惑じゃないかな?』
アイ『連絡入れれば大丈夫。うちのアホなんか連絡なしで来るし』
カズ『そういうときってどう思う?』
アイ『まぁぶっちゃけ言うとうれしいけどね(笑)』
おぉ・・・そういうものなのか。
カズ『じゃ連絡入れてみます!ありがとう!』
アイ『確かナナ今日塾とかない日だから、会ってくれると思うよ。大丈夫、なんだかんだ言ってナナも気にしてると思うから』
カズ『ありがとう!』
アイ『頑張れ!』
やっぱり熟年カップルは違うな、と思いながら、ナナにメールを打つ。
ヤバイ、すっごい会いたくなってきた。
カズ『今から会いに行くから。』
それだけ打つと、俺は自分の部屋を飛び出した。
* * *
アイside
アイ「早く家に帰った方がいいんじゃない?」
カズに最後のメールを送信したあと、私がそう言うと、ナナは通学バックを持って、立ち上がった。
学校が終わった後、そのまま私の家に押し掛けたナナは、もちろん私のケータイにカズからメールがあったことも知っている。
・・・もう、うちに押し掛けるほど心配なら、カズを避けなきゃいいのに、ナナってば。
ナナ「どうしよう!間に合うかな、今から帰って。」
ケータイのカズからの受信メールを見ながら、ナナは焦った様子で言う。
アイ「・・・自転車で送ってってあげるから。後ろ乗っていきなよ。」
ナナ「アイ〜!!ありがとう!!」
ったく、二人とも世話が焼けるカップルだわ・・・。
* * *
ナナの家に着くと、ナナは外で待っててくれていた。
寒がりだというのに、待っててくれてただなんて・・・・ヤバイ、ちょっと感動。
自転車をわきに止めると、俺はナナに近づく。
まっすぐに向き合う。
ナナ「・・・。」
カズ「ごめんなさい。」
単刀直入。
ナナ「私こそ、ごめん。」
カズ「ん?何が?」
ナナ「みぞおち。」
カズ「あぁ!いや、全然。悪いの、俺だしさぁ☆」
ちょっと沈黙が流れる。
カズ「もう、人前で絶対あぁいうことしないです。」
ナナ「そういうことでよろしくお願いします・・・。」
ナナはうつむいて、初めてのケンカだね、とつぶやく。
そんなナナがすごく愛おしく思えて、ナナの肩を包んで、自分に引き寄せた。
冷えたナナの小さな体は、なんだかとっても大切なものに感じた。
ナナ「ごめんね、照れ屋で。」
カズ「照れ屋のナナが好きなの。」
思ったことを言うと、ナナは俺の背中に腕を回して、ぎゅーっとしがみついてきた。
かわいー・・・。
なんか初めてかも、こんな風にされるの。
普段は、俺が抱きしめてばっかり、俺が甘えてばっかりだ。
甘えてくるのは、初めてかもなぁ・・・。
ナナ「二人だけのときは・・・どんだけでもそういうことしていいから。」
俺の腕の中で聞こえたナナの小さな声。
その声から、顔は見えないけど、きっと真っ赤なんだろうなぁ、と思う。
カズ「うん♪」
こうやって、お互いに想い合って、ちょうどいいペースで歩いていって。
どっちかが、歩くの速すぎたら、待って、って言う勇気も必要だし。
どっちかが、歩くの遅すぎたら、手を引いていってあげる強さも必要だし。
歩幅を合わせる優しさも必要。
恋愛って、難しくて、大変で、切なくて、苦しいときもあるけど。
楽しくて、幸せで、優しい気持ちになれるもの。
俺、よくわかんないけど・・・恋愛って、人を思いやることを、知ることだと思うんだ。
大切なもの、大切な気持ち、大切なことに、気付くためにあるんだと思うんだ。
カズ「ナナ。」
俺がそう呼ぶと、ナナは、顔を上げて俺を見上げる。
ナナ「!!」
見上げた瞬間にチューしたのは、言うまでもない。
*あとがき*
2番目にリクの多かったナナカズカッポゥ版です。
この二人はちゃんと中学生っぽくしたつもりです。
ほら、あれですよ、リョウ君とアイちゃんは中学生っぽくないんで(笑)
あの人達は見た目も中身も高校生ぐらいだと思ってください。
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