14 years old


1,



『無理。』

これが、最後のメールだった。わかってたよ。フラれることぐらい。けど、告白してもないのに、フラれるなんて、あまりにも、自分が惨めすぎた。


「あのさ、アイ、元気、だしなよ?」


何、同情?
だいたいさ、こんな状況に置かれているときに同情なんてされても、うれしくも何ともないんだよね。
逆に、もっと惨めになって、鼻の奥がツーンとうなって、目頭が熱くなる。優しさなんて、だいたいなんの役に立つのだろう。


「ほ、ほら、男なんて、別にリョウだけじゃないでしょ?それに、リョウの兄貴も、かっこいいって言ってたじゃん?だから、ね?そんな、暗くならないで。」


確かに、かっこいいって言ってたけど。かっこいいと好きは、あきらかに違うっつーの。
それに、どう解釈したって、リョウの兄貴にもコクって見れば?というせめてものはげましにしか聞こえない。あんたをいい人に見せるための偽善者の言葉にしか。しかも、一人の男にフラれたからって、簡単にほかの男、しかもその男の兄貴に告白する、なんて前向きすぎる考えは、あいにく持ち合わせていない。それに、私はあんたみたいにかわいくないから何回も告白したって許される、なんていう周りの承諾すら得ていない。だいたいそういうことしてると男ウケが悪くなるのよ。あんたみたいに。


「うん、そうだね。今日はありがとう。じゃ、またね。」


そう言って私は歩き出した。
あいにく、今日あった、この一時間にもみたない出来事を、今すぐには説明する気にはなれない。そんなことを今すぐ説明する労力を使うぐらいだったら、どっかのコンビニで一万円募金してやるわよ。いや、真面目な話。
だから、今、なぜ私がここにいるとか、話していたヤツは誰かとか、そもそも私は一体どんな人物なのか、とかは、さらさら話す気は無いワケ。そのうちには話すと思うけど。
私、身の上話って、この世で4番目ぐらいにきらいな話。身の上のことなんて、その人とそれからずっとつき合っていけば、そのうちわかることなのよ。日々の会話とかで。わざわざ、昔の記憶をほじくり返してまで今すぐ説明することじゃあないと思う、私はね。

世の中に、俗に言う、夢見る夢子ちゃん小説のような恋をできてる人は、実際、そうそういない。
学校公認カップル、とか、公園でデート、そしてそのままゴール・イン・・・・・。まずあるわけがない。
だいたい私の学校では男女交際をしている、とウワサが広まったら、まず学年中から注目されることになるし、ウワサが教師までに広まったら即呼び出しされて別れを催促される。
実際に別れなさい、といわれ、別れてしまったカップルもいる。その考え方からしておかしい。
どうして中学生に恋愛は必要ないか、とか、まずそこらへんの説明からしてほしい。
勉強に支障がでる?他のことに集中できなくなる?はぁ?って話。
そんなこと自分たちでわかってたら、最初からつきあったりしなかったはずでしょ?
なんでそういうところ、わかんない?それに保健体育で教育してるのはそっちだろ。
「人を好きになことは、とても自然なこと」って。これもまた、はぁ?って話。
国語の教科書の短歌にも、恋する気持ちを表すものがあるじゃない。与謝野晶子とか。そういうものを教科書に載せるってことは、少しはそういう気持ちを大切にしなさい、って言ってるんじゃないのか。

本当に世の中ってどうかしてる。
というかうまくできてるのよ。本当にうまく。都合の悪いようにね。
だけど人間はきれい事をいいたがる。偽善者。特に教師はね。本当に都合のいい生き物だと思う。
まぁ都合のいい生き物だからこそ教師の前ではいい子ぶっていればたいていのことはうまくいく。
私は正義を愛してます、みたいな、本当に根っからのいい子ちゃんを演じる。
「いい子」なイメージを持たせてる。
実際に私はその中の一人に入ってる。とりあえずいい子でいれば、難を逃れられる。だいたい悪くしなければいけない理由がない。いい子でいる理由はあるけど。
よく悪ぶってるヤツらっているけど、何が楽しくて、何が得で悪ぶってるのかがわからない。
悪ぶってて実際に得したことがあるのか、聞いてみたいぐらいだ。私たちの年代は、「悪い子」でいるか、「いい子」でいるかで、かなり運命を変えられる。高校が決まれば、行ける大学もその時点で決まる。
つまり、私たち中学生は、これからの人生を自由にあやあつれる年代なのよ。
これからの、自分という人形を。私は、その人形の首をはねるようなまねはしたくない。
そして、せっかく母親に痛い思いをして産んでもらった体と人生を、無駄にしたくはない。
だからいい子でいる。私はいろいろ考えて、「いい子」でいる。
スカートは素直に腰からたらし、髪の毛・眉毛の加工もしてない。
まぁこれらは本当に私がする必要の無い物、と考えてるからしていないだけなのだけれど。
スカートを短くして教師に呼び出しされて、ぐだぐだと説教をくらって、内申点を下げられるぐらいだったら、規定通りに世間のいいなりになってる方が、まだマシ。そっちの方が疲れない。

今も、この先も。

家につくと、もう時計の針はは六時すぎを指していた。
あと、六時間もたてば、また、気怠い一週間が始まる。
そう考えると、吐き気がしてたまらなかった。
月曜日の時間割は、気怠い科目ばかりだから困る。
だからと言って私一人のために学校全体の時間割を変えることはできないのだけれど。

私はいつも通りに、出される食事を食べ、風呂に入り、学校の支度をして、ベットに入った。そして、今日あったことを思った。



そうね、今はちょっと余裕があるから話すことにする。
「今日」あった出来事を。






14 years old NO.2 へ続く


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