そばかす
どこまでも高く、どこまでも低く、透明に、響き渡る声。
どんなリズムでも生み出す、キレのいいドラム。
細やかな音も、力強い音も自在に操る、情熱あふれるギター。
そう、俺は、お前らと出会って、一緒にこのステージに立つ運命だったんだ。
1,
「西野、お前、ベースやるの?」
同じクラスの外山弘樹が、いきなり、そう、放課後の教室で話しかけてきた。
高校二年になって、三ヶ月が過ぎる。
この高校生活に慣れて、部活に入ってない俺は、暇をもてあましている時期だった。
何か、夢中になれることを見つけたい。
見つけたら、とことん夢中になりたい。
そんなことを考えながらも、この蒸し暑い七月の下旬、結局何も行動に移せないままだったときだった。
「あ、うん、やるけど?」
外山がそう聞いてきたのは、今日、俺が学校にベースを持ってきたからだろう。
学校帰りに楽器屋に寄って、弦高を調節してもらおうと、学校に持ってきた。
まぁ、こんな大きいもの持ってくりゃ、目立つだろうしな。
小学校六年生のころ、ベーシストだった親父の影響で、趣味程度に始めたベース。
もう、ベースをやり初めてかれこれ5年近く経つ。
俺が唯一夢中になりかけてるのはベースで、ベースを弾いてると楽しかったし、いつかバンドも組んでみたい、でもそんなんで将来食っていけるわけないしな、そんなことを思いながらも、毎日ベースにはさわっていた。
弘樹「へぇ・・・。俺はさ、ギターやるんだ。」
「どのくらいやってる?」
弘樹「5年くらい。小学校六年のときから、やっててさ。」
「マジ?俺も5年やってるよ、全く同じだな。」
外山とは、さしてそんな仲が良いわけではない。
でも、こんな近くに、俺と同じように音楽に感心があるヤツがいただなんて。
もうちょっと、仲良くなってみたいかも。
そう思って、今度は俺から投げかける。
「リスペクト(尊敬)しているアーティストは?」
弘樹「んー、hideだな。テクニックとか曲とかは」
「嘘!?俺もX JAPAN大好きなんだけど。ロック好き?」
弘樹「うん。ミスチルとかも好きだし。」
趣味が合う。
そのあとも、外山とは音楽の話題はつきなかった。
そのほかの好きなアーティストも一緒で、求めてる音楽性も一緒。
もしかしたら、外山とバンド組んだら、夢中になれるんじゃ・・・。
「なぁ、西野って、バンド組む気とか、ある?あったら、組まないか?」
そう、望み通りに、外山は俺を誘ってきた。
外山も、俺と同じように、夢中になれるものが、ほしいのだろう、きっと。
「俺もそう言おうと思ってた。」
弘樹「・・・これからよろしく、浩介!」
弘樹、俺のことを下の名前で呼んだ。
これが、俺らの音楽の始まりだった。
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