amour methode 15
6,
「16」
「17」
ってことは。
「きたー!!」
やった。番号が並んでるってことは、同じ班ってことじゃん!
って二人笑顔で喜んでると。
「あ、わかってると思うけど番号はランダムだからね。表見て確認してよ」
ってゆう、担任の言葉と、彼女が指差す方向の紙切れ。
顔を見合わせてから、表一緒のタイミングで視線を移す。
いくつか四角く囲まれた中に、それぞれ番号が書かれていて。
本当だ、きっと気まぐれで書いたものだろう、全く法則が掴めない形で描かれている数字たち。
担任の言葉を聞いて少しだけ不安になる。
え、リョウの神パワーは絶大なはずなのに。
同じ班になりたいってばー!
とか思って、不安と期待がごっちゃになったまま、自分の番号を探す。
私の番号…17、17、17……。
あった!表からすると……4班みたいだ。
「4班だ」
「え、俺も」
……!!
「きたーっ!!!」
ってまた、喜んでたらさ。
次は、何が来たと思う?
「あの悪魔がさ、『あっ、4班だー☆あれ?リョウとアイちゃんと同じー?やったぁ、二人となら楽しいじゃん☆』……だってさ!」
私がバンッ、と机を叩く。
その次は、あまりにも悔しくなって、そのまますごい勢いで机に顔を伏せる。
もーやだー!とかぶつぶつ言いながら、実に私らしくなく、もうわめいてもしょうがないことをわめきちらすのだ。
「最近運ないねー、アイ」
私がふっつぶしている私の斜め横に座って、私がこんなに弱音を吐ける唯一の友達、ナナは苦笑いして言う。
運あるようで、ないようなんだけど。
リョウと同じ班になれたんだ。同じクラスになって、修学旅行に行く班で、同じ班になれたんだ。
それは、絶対に心から喜ぶべきことだったのに。
あまりの悔しさに、思わず歯を食いしばる。
窓の向こう。夕日がキレイ。
放課後、通い慣れたナナの部屋。この、落ち着くナナの匂いでいっぱいの空間が、私は大好きだった。
ナナの物なのに私の物と決めているクッション。
誰の代わりのつもりなんだろう、不安なときは抱きしめて気を紛らわす。
今も変わらず、そのクッションを折り畳んだ足の上に乗せて、机の無表情な冷たさを、頬で感じている。
「どーしよ……てゆーかどーしよ……」
「修学旅行って、4人班だよねー。男子2人、女子2人の。ってことは女子はアリサと2人だよね?」
「だからどーしよーって言ってんじゃん!」
問題はそこなのだ。
リョウとアリサが同じ班になったことを悔やんでいるのではない。なぜなら私も同じ班なのだから阻止なんてしようと思えばいくらでもできる。
そんな自分の努力次第で解決可能なことで私はいちいち悩んだりしない。女の子が班に二人だけ、という事態に焦っているのである。
修学旅行で同じ班、そして班に女の子は二人……仲良くないと絶対やっていけない。仲良くないと楽しいものも楽しくならない。
どうすればいいんだ。
「どうすればいいの」
「んー、アレだよ、アイの方はさ、全くあんたとなんか喧嘩する気ないわよって態度取ってれば?」
「う〜ん、やっぱ触らずの方が安全かな」
「相手の出方を見た方がいいよ」
確かにそうかもしれない。
アリサもアリサなりに、つまらないよりは楽しい方がいいはずだ。
きっと修学旅行の前までには、何らかの私たちの形を提案してくるのでは……?
それにはいはいと従うのはちょっと気にくわないが、それで良くなるのなら今のぴりぴりした状態よりはまだマシじゃないか?
しかしアリサの強運にもほとほとあきれてしまう。
どうしたら私とリョウとアリサが同じ班になるようにくじが混ざるのだろう。
リョウと同じ班になれた!なんて喜んでいたのはほんのつかの間、その後にすぐにアリサが乱入。
全く、幸せっていつ不幸に変わるか、本当に予想は出来ないものである。
でも、良く考えたら、これがもしかしたら幸せになる、不幸な出来事なのだ。
大丈夫、リョウの神パワー……転じてキューピットパワーは偉大なんだ。
「ナナ、キューピットと天使の違いって何か知ってる?」
「はぁ?」
「だからキューピットと天使の違い」
「あー、なんか、キューピットは愛の神。天使は天使。」
「……まじでっ!?」
愛の神、愛の神……アイの神!
きた!私の波がきてる。それもとんでもなくビックウェーブがきてる。
「なんとしても修学旅行は楽しんでやる」
「よくわかんないけどがんばれ」
川辺を今日初めて 手を繋いで歩いた
大好きなaikoの曲を口ずさみながら、ゆっくりと夕方のキレイな道を歩く。
隣には、大好きな人を連れて。
ちょっと距離を置いてとぼとぼと歩く、部活のない日の帰り道。
得に何も話すこともなく、だた一緒にゆっくりと歩いて、リョウの家の方向に向かう。
制服姿の二人の後ろ姿は、あまりにも青春っぽいんじゃ、ないかな。
リョウが部活のない日、一緒にリョウの家に帰って、週に一回の、放課後デート。
ここ最近はこれが出来てなかったから、今日このとき、本当はとってもうれしいんだ、気付いてる?
右の耳から かすかに聞こえた 「ずっと近くにいるよ」
そのフレーズを歌い終わったところに、ふいに、自分の手に体温を感じた。
「最近イチャついてねーな」
そう、はにかんで言いながらリョウは、私の手をその大きな手で包み込む。
いつも二人は恋人つなぎをしないんだよね。
初めて手を繋いだときからそうだった。
なぜか二人とも恋人つなぎをしようとしない。
お互いに相手の四本の指を掴んで、私は横から、リョウは上から手を掴む。
なぜか言うともなしにこのスタイル。
でもこのつなぎ方が好きだった。
二人だけの、通じるつなぎ方。
「リョウ、キューピットは愛の神なんだって」
「へー……じゃ、世界の神と愛の神で最強じゃん」
「勝てる人たちいないね」
「いたら戦う」
リョウのその言葉に、二人してぷっ、と吹き出して。
幸せが消え失せる事なんて、絶対にない。
根拠なしに、そう思いこんでいる私になんか、私でさえ、誰も気付かなかったんだ。
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